スタッフが増えると「誰かがやるだろう」が生まれる

結論から言うと、一つの店に関わるスタッフの人数が増えるほど、店への帰属意識は下がり、「誰かがやってくれるだろう」という空気が生まれやすくなります。これを防ぐには、店の業務をすべて書き出して担当を決め、全員に共有すること。そして、採用を始める前に、どんな人数でどんなチームを作るかを決めておくことです。

なぜ人数が増えると、店が回らなくなるのか?

スタッフが少ないうちは、一人ひとりが「自分の店」という意識で動きます。誰に言われなくても掃除をし、お客様に声をかけ、足りないものに気づきます。

ところが、関わる人数が増えると、この意識が薄れていきます。誰かがやるだろう、自分の担当ではない、という空気が生まれるのです。

大事なのは、これは社員か業務委託かの問題ではないということです。業務委託のスタッフだから意識が低い、ということではありません。一つの店に何人が関わっているかによって、帰属意識そのものが変わるのです。

実例:店を回していたスタッフが抜けたとき

私が見た事例では、社員として働いていた人気インストラクターが辞めたとき、店が大きく混乱しました。

そのスタッフは、セッションだけでなく、店の管理、スタッフへの声かけ、清掃や洗濯まで、店を回す仕事の多くを一人で担ってくれていました。その人が抜けると、残ったスタッフや新しく入った業務委託のスタッフからすれば、「自分は何をすればいいのか」が分からない状態になったのです。

売上の立て直しよりも、この混乱を収めるほうに時間がかかりました。詳しくは「人気スタッフが辞めた後、売上をどう立て直したか」で紹介しています。

店の業務を書き出して、担当を決めるには?

  1. 店の業務を、すべて書き出す
    セッション以外の仕事こそ漏れやすい部分です。店の管理、スタッフへの声かけ、清掃、洗濯など、日々「誰かがやっていること」を一つ残らず書き出します。
  2. 今、誰がやっているかを確かめる
    書き出してみると、特定の人が何も言わずに引き受けている仕事が見えてきます。その人が抜けたら止まる仕事は、店にとっての弱点です。
  3. 担当を決める
    「手が空いた人がやる」ではなく、「この仕事はこの人の担当」と決めます。自分の担当だと意識してもらえるかどうかで、仕事の進み方は大きく変わります。
  4. 全員に、丁寧に共有する
    決めた内容は、見える形にして全員に共有します。新しく入ったスタッフでも、自分が何をすればいいかがすぐ分かる状態にしておくことが大切です。

誰が何を担うのかが曖昧なまま残っていると、せっかく入ってくれたスタッフも離れていってしまいます。

採用の前に、チームの形を決めておく

人数が増えたときの連携の難しさは、想像以上です。振り返ると、どんな人数で、どんな役割分担のチームを作るのかを、採用を始める前に考えておくべきだったと思います。

人が足りないから採用する、という順番だと、入ってから役割を考えることになり、混乱が起きます。先にチームの形を決めておけば、どんな人を、何人採用すればいいのかもはっきりします。

店舗が増えると「前はできていたこと」ができなくなる

1店舗だけのときは、オーナーの目が隅々まで届きます。スタッフの退職時の挨拶やお客様へのお礼のように、自分の店なら当たり前にやっていたことも、店舗が増えると抜け落ちがちです。

店舗を増やす時期こそ、業務を書き出して「仕組み」にしておく必要があります。業務の書き出しや担当の一覧づくりは、今はAIを使えば短い時間で進められます。

店の業務、誰が何をしているか言えますか

「あの仕事は、結局誰がやっているんだろう」。そう感じることがあれば、店の仕事が特定の人に頼っているサインかもしれません。

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